2025.12.24薬剤師アドバイス

急な高熱や咳はインフルエンザのサイン?予防のポイントも薬剤師が解説

急な高熱や咳はインフルエンザのサイン?予防のポイントも薬剤師が解説

インフルエンザの基礎知識

インフルエンザとはどのような症状ですか?風邪との違いは何ですか?

インフルエンザは「インフルエンザウイルス」に感染することで発症する感染症です。風邪と異なり、発症が急で、症状が重くなりやすい傾向があるのが特徴です。インフルエンザの主な症状は、次の通りです。

インフルエンザの主な症状

  • 急な高熱
    突然38度以上の熱が出ることが一般的です。風邪では熱が出ても微熱程度が多いですが、インフルエンザでは高熱が続くことがあります。
  • 倦怠感
    体が極端にだるい、動けないほどの疲労感を伴います。
  • 筋肉痛や関節痛
    体が痛んだり、節々が痛むことがあります。風邪ではあまり見られない症状です。
  • 咳・のどの痛み
    乾いた咳が続き、呼吸器系に違和感を感じることがあります。
  • 頭痛や胃腸関連の症状
    特に子どもでは嘔吐や下痢を伴う場合があり、風邪よりも多様な症状が出ることがあります。
 

また、インフルエンザは風邪と異なり、重症化する場合があります。肺炎、脳炎、心筋炎などの合併症を引き起こす可能性があり、免疫力の弱い子どもや高齢者は注意が必要です。「風邪かな?」と思っても、高熱が続いたり、全身のだるさや強い痛みなどの症状がみられる場合は、早めに医療機関を受診することが望ましいです。

インフルエンザはどのように感染するのですか?

インフルエンザウイルスは非常に感染力が強く、人から人へと簡単に広がる性質があります。主な感染経路は以下の2つです。

インフルエンザの主な感染経路

  • 飛沫感染
    インフルエンザ患者が咳やくしゃみをすると、ウイルスを含んだ小さな飛沫が空気中に散らばり、これを吸い込むことで感染します。特に人が密集する場所(電車、学校、職場など)では飛沫感染のリスクが高くなります。患者が話をした際にも飛沫が広がるため、マスクを着用して防ぐことが推奨されます。
  • 接触感染
    感染者が触れたドアノブ、机、電気スイッチなどには、ウイルスが付着している場合があります。それらに触った手で目や鼻、口に触れると感染リスクが高まります。家庭内や職場で共用物を触る際は、手洗いやアルコール消毒をこまめに行いましょう。

 

感染が広がりやすい状況を防ぐため、以下の予防策が効果的です。

インフルエンザの効果的な予防策

  • マスクの着用
    飛沫の吸い込みを防ぎます。患者側もマスクを着用することでウイルス拡散を防ぐ効果があります。
  • 手指消毒
    触れる機会が多い物を扱った後は、必ず石けんを使った手洗いやアルコール消毒を心掛けましょう。
  • 換気の奨励
    室内で感染しやすい環境を避けるため、窓を開けて空気を循環させましょう。
インフルエンザの主な症状と、初期に見られやすいサインは何ですか?

インフルエンザは急速に体調が悪化するのが特徴です。一般的に以下のような症状がみられます。

インフルエンザの特徴的なサイン

  • 高熱
    突然38度以上の熱が出ることがあり、体温が急上昇することがあります。
  • 全身症状
    強い倦怠感や筋肉痛、関節痛が主な症状であるだけでなく、体がしびれるような感覚が出ることもあります。
  • 咳やのどの痛み
    乾いた咳が続き、のどがイガイガしたり、声が出にくくなることがあります。
  • 胃腸関連の症状
    特に乳幼児は嘔吐や下痢を伴う場合もあります。
  • その他
    頭痛や寒気など不快感を伴うことが多く、風邪と比べて症状の幅が広いです。

 

初期段階では、軽い悪寒(寒気)、軽度ののどの違和感、体がだるいといった異変が表れる場合があります。このタイミングで無理をせず休むことが重症化を防ぐポイントです。とくに高熱が出た場合は放置せず、早めに医療機関を受診してください。

インフルエンザウイルスの潜伏期間はどのくらいですか?

インフルエンザウイルスの潜伏期間は、通常1~3日程度です。潜伏期間中でも感染力があるため、感染者が症状を自覚する前から周囲にウイルスを拡散している可能性があります。このことから、症状がみられなくても油断しないことが大切です。
 

また、発症後には感染力がピークに達し、特に発症から2~3日間はウイルスを広げやすいです。その後徐々に感染力は落ち着きますが、完全になくなるまで約5~7日かかります。この間は相手を感染させる可能性があるため、症状が軽減してもマスク着用や外出を控えるなど予防策を続けましょう。

予防・かかったあと

インフルエンザを予防するために、日常生活の中で最も大切なことは何ですか?

日常生活でできるインフルエンザ予防で大切なのは、免疫力を高めることです。免疫力が高ければウイルスに感染してもインフルエンザを発症しにくくなります。特に次のような生活習慣は、免疫力を高めるのに役立ちます。

インフルエンザにかからないための生活習慣

  • 栄養豊富な食事
    野菜、果物、タンパク質をバランスよく摂ることで、身体全体を健康にします。
  • 質の高い睡眠
    十分な睡眠は体の修復を促進し、免疫力を向上させます。就寝前にスマホの使用やテレビの視聴を控え、リラックスした状態で眠ることが重要です。
  • 適度な運動
    身体を適度に動かすことで血流が改善され、免疫細胞が活性化されます。
  • ストレス管理
    過剰なストレスは免疫力を低下させる原因となります。趣味や休養の時間を設けましょう。
家や職場で簡単にできるインフルエンザ予防法には何がありますか?

家庭や職場で簡単に取り組めるインフルエンザ予防策として、次のポイントを意識しましょう。

簡単にできるインフルエンザ予防

  • 手洗い・消毒の習慣化
    手洗いは、最も基本的かつ重要な予防対策です。帰宅時や食事の前後だけでなく、人混みに行った後やドアノブなど多くの人が触れる部分に触れた後は、石けんを使って20秒以上かけて手を洗いましょう。定期的なアルコール消毒も併せて行うと、さらに効果的です。
  • マスク着用の徹底
    職場や公共の場ではマスクを着用し、飛沫感染を防ぎましょう。会話が多い環境や特に冬場の混雑した場所では、感染予防に役立ちます。また、家族に感染者が出た場合もできる限りマスク着用を徹底することが周囲への感染拡大を防ぐ鍵となります。
  • 共有物の管理
    職場では、電話機やドアノブなど毎日多くの人が触れるものが感染源となる可能性があります。これらをアルコールなどで消毒する習慣をつけ、感染リスクを減らしましょう。
  • 換気(空気と湿度の管理)
    定期的に窓を開けて換気し、部屋の空気を入れ換えることでウイルス粒子を拡散する効果があります。さらに、湿度が低い環境ではウイルスが増殖しやすいため、加湿器などを活用して室内を適切な湿度(約50〜60%)に保つことが推奨されます。
  • 休養と体調管理
    疲れていると感じたら、無理をせずに休みを取りましょう。睡眠不足や過労は免疫力を低下させ、インフルエンザやその他の病気にかかりやすくなる原因です。特に季節性インフルエンザが流行する冬場には、早めの休養が重要です。
家の中でできる、インフルエンザの感染を防ぐ環境づくりのコツはありますか?

家庭内で感染が広がるのを防ぐために役立つ環境づくりのポイントをご紹介します。

インフルエンザを防ぐ環境づくりのコツ

  • 加湿器で湿度を保つ
    インフルエンザウイルスは乾燥した環境でより活発になるため、湿度が約40%以下になると感染リスクが高まります。加湿器や湿ったタオルを部屋に置いて適度な湿度(50〜60%)を維持することで、ウイルスの活性を抑え、粘膜保護にもつながる環境を作れます。
  • 定期的な掃除
    室内の清潔さを保つことは感染対策の基本です。床やカーテン、家具に付着したホコリやウイルスを取り除くため、日常的に掃除機をかけましょう。また、ドアノブ、スイッチなど手に触れる場所をアルコール消毒で拭き取ることを心掛けてください。家庭での簡単な拭き掃除は感染予防に大きな効果をもたらします。
  • 家庭内ルールの設定
    例えば「帰宅時には必ず手洗いとうがいをする」「食事の前には手指の消毒をする」といったルールを設定することで、家庭内の感染リスクを大きく減らすことができます。
  • 家族間での共有を避ける
    タオルや食器類などの口や肌に直接触れるものは、家族であっても共有を避けましょう。感染者がいる場合は、明確に分けて、感染の拡大を防いでください。
  • 食事の工夫
    免疫力を助ける食材を取り入れた食事を心がけることが、感染予防につながります。このあとご紹介する免疫力をサポートする食品を、積極的に取り入れてください。
免疫力を高める食べ物や飲み物には、どのようなものがありますか?

免疫力を高めるためには、食事や水分補給が重要です。具体的には以下のような食材を積極的に採りましょう。

免疫力を高める食材

  • ビタミンCが豊富な食品
    レモン、みかん、いちご、ピーマンなどは特にビタミンCが豊富です。抗酸化作用が強く、免疫細胞の働きを向上させる役割があります。風邪やインフルエンザの予防と回復にも役立ちます。
  • 亜鉛が豊富な食品
    牡蠣、牛肉、豆類、ナッツ類は亜鉛を豊富に含みます。亜鉛は免疫細胞の形成と修復に携わる栄養素であり、体調管理に欠かせません。
  • 腸内環境を整える発酵食品
    ヨーグルト、納豆、キムチ、味噌などは腸内環境を整え、免疫力をサポートします。腸は「第二の脳」とも呼ばれ、健康を維持する上で重要な役割を担っています。
  • 暖かい飲み物
    生姜入りのお茶やハーブティー、緑茶などは身体を温める効果があり、寒い季節での体調管理に役立ちます。緑茶にはカテキンが多く含まれており、抗ウイルス作用が期待できます。
  • 高品質なタンパク質
    魚、鶏肉、大豆などから摂れるタンパク質は免疫細胞の材料であり、体調を整える土台となります。特に冬場は焼き魚や温かいスープなどを食事に取り入れると良いでしょう。
インフルエンザにかかった後、復帰してからも気をつけるべきことはありますか?

インフルエンザから回復した後も、体調や周囲への配慮が重要です。以下の点に注意してください。

インフルエンザ回復後の注意点

  • 復帰時期を医師と相談する
    職場や学校復帰のタイミングは、症状の有無だけで判断せず、医師のアドバイスを受けましょう。特に、高齢者や子どもがかかった場合は体力が完全に戻るまで十分な休養が必要です。
  • ゆっくりした体力回復
    回復後も免疫力が低下している場合があるので、無理な運動や急激な仕事量の増加を避け、徐々に通常の生活リズムを戻すことが推奨されます。
  • 周囲への感染リスクを防ぐ行動
    ウイルスは、症状がなくなったあともしばらくの間、体内から排出される可能性があります。そのため、復帰後もマスクの着用は続けましょう。とくに、子どもや高齢者が周囲にいる環境では、感染予防を継続してください。
  • 適切なリハビリと栄養管理
    退院後や回復後は、体力が低下していることも想定されます。タンパク質やビタミンなどを意識したバランスの良い食事を心がけ、無理のない範囲で体調を整えましょう。また、合併症が起きていないか、自宅でも体調の変化を見逃さないことが大切です。
topに戻るボタン