2021.12.28薬剤師アドバイス

ドライアイ

ドライアイ

パソコンやスマホの長時間使用、空調の効いた職場、コンタクト装用など、私たちの生活にはドライアイを引き起こす要因が多く潜んでいます。
 今回は薬剤師に、ドライアイの症状や原因、すぐに実践できる対策について訊いてみました。
目の不快感や疲れが気になる方は、ぜひ参考にしてください。

ドライアイの症状

ドライアイの初期症状

ドライアイの初期症状として最も多いのは「目が乾く」といった乾燥感です。自覚の仕方としては、「ごろごろする」「しょぼしょぼする」「目を開けているのがつらい」といった軽い違和感を覚えることが多いです。人によっては目の疲れやすさ、なんとなく見えづらい感じ、まばたきの回数が多くなったことなどから気づくこともあります。初期の段階では痛みや明らかな異常がないため、「何となく不快」というレベルで見過ごされがちです。

目の疲れやかすみとドライアイの違い

ドライアイと目の疲れ・かすみは、完全に別物というよりは「関連性が強い状態」です。たとえば、長時間のスマートフォンやパソコンの使用によって目を酷使すると、瞬きが減って涙の蒸発が進み、結果的にドライアイを招きます。一方で、ドライアイになると目の表面が荒れて光の反射が乱れたり、ピント調整がうまくいかなくなって、目が疲れたりかすんで見えたりします。どちらが原因かは一概に言いにくく、相互に関係していることが多いです。

見過ごされがちな目のサイン

「なんとなく目が疲れる」「異物が入っているような感じ」「見えづらいけれど日常生活に大きな支障はない」といった、軽微な症状はドライアイの初期段階でよく見られます。こうした症状は年齢や疲れのせいにされやすく、目の乾燥との関連性に気づかれないことが多いです。しかし、ドライアイが進行すると涙の質や量が悪化して、目の表面で光が乱反射を起こし、かすみやぼやけといった「見えにくさ」につながります。気づいたときには実用視力が落ちていることもあります。

ドライアイの原因と対策

ドライアイの主な原因

ドライアイの代表的な原因としては、加齢による涙の量や質の低下があり、それに加えてパソコン作業、スマートフォンの長時間使用、エアコンによる乾燥、コンタクトレンズの長時間装用などが重なります。これらは「コン3(コンピュータ・コンタクト・コンディショナー)」と呼ばれることもあります。また、ストレスや不規則な生活で自律神経が乱れると、涙の分泌を抑える交感神経が優位になり、ドライアイが悪化しやすくなります。ほかにも、抗不安薬や抗ヒスタミン薬などの副作用、自己免疫疾患(シェーグレン症候群など)によっても発症することがあります。

日常でできる対策

日常でできるドライアイの対策として、まずは目を休めることが基本です。長時間のパソコン・スマホ使用中は意識してまばたきの回数を増やし、1時間に 1 回は休憩をとるようにします。空気が乾燥している場合は加湿器や濡れタオルを利用し、エアコンの風が直接目に当たらないように風向きを調整します。点眼薬(人工涙液やヒアルロン酸入り)を使うのも効果的です。マイボーム腺(まつ毛の生え際にある油分を分泌する腺)を温めて詰まりを防ぐことで涙の質を改善することもできます。さらに、生活習慣を見直し、ビタミン A などの栄養素を意識的に摂るのもおすすめの対策です。

社会人のドライアイ事情

ドライアイとデジタル機器の関係

PCやスマホの画面を長く凝視すると、自然とまばたきの回数が減ります。まばたきは涙を目の表面に広げて保護する重要な働きをしていますが、それが減ることで涙が蒸発しやすくなり、目の表面が乾燥します。また、集中して作業していると交感神経が優位になり、涙の分泌が抑えられるため、ますます乾燥が進みやすくなります。

乾燥とドライアイの関係

暖房や冷房が効いた部屋、加湿器のない室内などでは、空気が乾燥しやすくなります。乾いた空気は眼球表面の水分を奪い、涙が蒸発しやすくなります。加湿器の設置、濡れタオルを室内に干す、風の向きを変える、保護メガネを使用するなどで乾燥対策をすることが重要です。こうした環境に長時間さらされていると、目の乾燥感が強くなり、症状が慢性化することもあります。

ドライアイを放置するリスクは?

初期のドライアイを放置するリスク

ドライアイを放っておくと、涙が不足して角膜や結膜が傷つきやすくなります。その結果、視力の低下、目の痛み、角膜の上皮剥離といった症状に発展することもあります。バリア機能が弱まった眼球表面は感染にも弱くなり、結膜炎や角膜炎などを引き起こすリスクが高まります。逆に、乾燥を補おうとして涙が過剰に出る「流涙(りゅうるい)」という症状が起きることもあります。また、ドライアイが原因で集中力が落ちたり、肩こりや頭痛といった全身的な不調(不定愁訴)にもつながります。無意識に目を細めるようになることで、目じりや眉間のしわが定着してしまうこともあります。

ドライアイが及ぼす視力への影響

ドライアイが進むと、目の表面の滑らかさが失われ、涙の膜も均一に広がらなくなります。これにより光の通り方が乱れ、「かすんで見える」「ピントが合いづらい」といった症状が現れます。特に「視力検査の数値」よりも、日常生活での実際の見え方=「実用視力」に影響が出ることが多く、「ぼやけて本が読みづらい」「PC 作業がしんどい」といった形で気づかれることがあります。

仕事の合間にできるドライアイ対策

短時間でできる目のケア

スキマ時間でできる目のケア法をご紹介します。

短時間でできる目のケア

いずれも数分でできるので、仕事や家事の合間に取り入れるのがおすすめです。

乾燥を防ぐためにできる工夫

ドライアイの原因でもある乾燥の対策として、加湿器がなければ、濡れタオルや洗濯物を部屋に干すのも効果的です。エアコンの風が直接目に当たらないように風向きを調整し、それが難しい場合は机の配置や風よけの設置も有効です。保護メガネの着用も乾燥から目を守る手段の一つです。また、パソコン作業中は意識的に瞬きをしたり、30 分〜1 時間おきに画面から目を離す習慣も大切です。

目薬に頼らずできるドライアイ対策

目の表面を健康に保つには、食事や生活習慣の見直しも重要です。青魚に含まれるオメガ3脂肪酸、緑黄色野菜のビタミンAやC、Eなどは涙の質を改善する働きが期待できます。また、まぶたのマッサージや温め、ストレスケア、十分な睡眠も効果的です。コンタクトとメガネを併用し、長時間装用を避けること、乾燥した場所では保護メガネを使用するなど、環境面の工夫も大切です。

ドライアイの症状と簡単セルフチェック

ドライアイの症状に少しでも心当たりがある方は、以下のチェックシートでセルフチェックをしてみてください。

ドライアイセルフチェックシート

ドライアイを改善して目の健康を守りましょう

ドライアイは、生活習慣や環境を少し見直すことで、予防・改善が可能な症状です。
セルフチェックシートの項目に3つ以上当てはまった方はドライアイの可能性が高いため、できるだけ早めに対策を始めましょう。

※具体的な判断基準については、薬剤師の方にご確認ください。

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